新春のクラシック音楽コンサートの1つ、NHKニューイヤー オペラコンサート。2023年の第65回以来、抽選形式となっている。2000年以来、NHKホールへ足を運び、ロビーで軽い夕食を取りながら、コンサートにやって来た方々と談笑して、コンサートを楽しんでいた。抽選形式になって、テレビで拝見することとなっていることは残念である。
まず、ビゼー「カルメン」前奏曲・闘牛の場面、第1幕フィナーレ セギディーリャ。見事な見せ場だった。モーツァルト「フィガロの結婚」第1幕 自分がわからない もう飛ぶまい、この蝶々。思春期のケルビーノが素晴らしい。フィガロがケルビーノをからかうか、または勇気づけるか。滑稽だった。「ドン・ジョヴァンニ」第1幕 手を取って、第2幕むごい人 いいえ、違うわ。ツェルリーナを誘惑するドン・ジョヴァンニ、ためらうツェルリーナの心の揺れ。ジョヴァンニに父、ドン・ペドロを殺されたドンナ・アンナの心。見事に表現されていた。ベートーヴェン「フィデリオ」第2幕
フロレスタンの居所を見つけ、ピツァロから身を守る中、司法大臣ドン・フェルナンドが到着。夫妻の喜びの2重唱、フィナーレも聴き応えがあった。
シェーンベルクによるヨハン・シュトラウス2世「皇帝円舞曲」の室内楽版。ヨハン2世も生誕200年。リラックスした面持ちだった。
ヴェルディ「マクベス」、虐げられた祖国。マクベスの暴政から逃れた亡命者たちの悲しみを歌った。「ドン・カルロ」、国王フェリペ2世、異端審問官とのやり取りには、国王の苦悩を伝えた。「運命の力」ラタプラン、戦場の楽しみの陰には悲しみがあることを見せつけた。神よ、安らぎを。レオノーラの極限の思いが伝わった。「シモン・ボッカネグラ」 血なまぐさい歴史の中に、平民・貴族の争いから、平和な夜を望む人々の願いが切々と心に響く。プッチーニ「蝶々夫人」第1幕フィナーレ アメリカの士官ピンカートン、長崎の芸者 蝶々さんが結婚式を挙げ、初夜を迎える。ピンカートンが欲情を露わにする一方、蝶々さんが真の愛を歌う。すれ違いが伝わる。ジョルターノ「アンドレア・シェニエ」、国を裏切る者での人間としての苦悩、シェニエ、マッダレーナが死を決意する2重唱の凄みがあった。
最後はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」、愛しい人よ 早く、酒を飲みかわしながら、恋を語る情景が見事。最後は、ぶどう酒の燃えるままに。出演者全員が、コンサートを見事に締めくくった。
2022年まで、チケットを購入する方式だった。2023年から、抽選形式となった。これは問題である。従来のチケット購入方式に戻した方が行きやすいはずである。抽選形式は止めていただきたい。
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