バッハ・コレギウム・ジャパン 第140回定期演奏会 ベートーヴェン 交響曲第5番 Op.67 ミサ曲 Op.86 ハ長調

 バッハ・コレギウム・ジャパン、第140回定期公演はベートーヴェン生誕250年にちなみ、交響曲第5番、Op.67、ミサ曲、Op.86、ハ長調によるプログラムであった。(東京オペラシティ コンサートホール)

 鈴木雅明は過去にベートーヴェンでは第4番、第5番、第9番、ミサ・ソレムニス、Op.123を取り上げて来た。第5番は調布国際音楽祭以来となった。私たちは、第5番を「運命」の名で親しんできた。レコード、CDでもシューベルト、交響曲第7番「未完成」との組み合わせでも耳にした。改めて、ピリオドオーケストラで聴くと、ベートーヴェンが意図したものがはっきり見えて来た。ベートーヴェンは、父親の存在を超越せんとした。酒飲みで、幼い頃から徹底したスパルタ教育を受けた父親。その父親を乗り越えた姿を表現せんとした。音楽家として名声を得んとして、ヴィーンなどへ出ようとしていた。初めてのヴィーンで、モーツァルトに接したものの、母親の病でボンに戻り、母親を看取る。ボンで教養を得て、ハイドンの誘いでヴィーンに出る。そして、音楽家として名声を得たとはいえ、耳の病が襲う。また、フランス移住も考えていた。これまでの総決算として生み出した交響曲であることを明確に示した。

 ミサ曲、Op.86、ハ長調はハイドンゆかりのエステルハーツィ侯爵からの依頼による。ベートーヴェンならではのドラマトゥルギーの表出も見所で、シューベルトはこれを聴き、音楽の道に進む決意を固めた。ミサ・ソレムニスと比べても遜色ない作品である。櫻田亮、加来徹をはじめ、中屋早希、布施奈緒子が素晴らしい歌唱を聴かせ、合唱も見事だった。このミサ曲ももっと、取り上げるべきではなかろうか。

 年末、交響曲第9番、Op.125の上演も決まり、楽しみである。