ゲルハルト・オピッツ ピアノリサイタル ベート―ヴェン 最後の3つのソナタ、バガテル

 ペーター・レーゼルと共にドイツ・ピアノ界を代表する大御所、ゲルハルト・オピッツがベート―ヴェン生誕250年記念として、ベートーヴェン、最後の3つのソナタ、最後のピアノ作品となった6つのバガテル、Op.126によるプログラムでリサイタルを行った。(11日 東京オペラシティ コンサートホール)

 新型コロナウィルスで外来演奏家の来日公演が中止・延期になったり、外来演奏家の招聘が困難になったため、日本人演奏家たちの活躍の場が増えた。それでも、夫人が日本人、親日家であるオピッツのリサイタルが実現したことを喜びたい。

 ベートーヴェン、最後の3つのソナタではオピッツの円熟した、味わい深い世界が広がった。第30番では、天国と現世との対比が描かれていた。第3楽章の変奏曲では、追憶の中に現世との別れを告げるかのようなベートーヴェンの心境を描いていた。第31番は、追憶と現世との闘いを描きつつも、闘いとの勝利を告げるかのような演奏だった。第32番では、現世の最後の闘いとしての第1楽章、この世への別れを告げる第2楽章が見事だった。

 ベート―ヴェン最後のピアノ作品となつた6つのバガテル、Op.126には、この時期のベートーヴェンの自由な境地を描き出していた。

 残念ながら、レーゼルのリサイタルが2021年10月に延期となった。仮に、実現していたら、ドイツ・ピアノ界の大御所の競演となり、話題性が増しただろう。その面では残念だったものの、新型コロナウィルスの終息を祈りたい。