レナード・バーンスタイン モーツァルト ピアノ協奏曲 第17番 K.453

 2025年の年明けに相応しく、モーツァルト、ピアノ協奏曲 第17番 K.453。レナード・バーンスタインがヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団との弾き振りによる演奏、1981年のものである。

 ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団とバーンスタインのピアノが見事に調和している。バーンスタインには、過去にもヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団との弾き振りがあった折、ヴィルヘルム・バックハウスからベーゼンドルファーを借りたこともあったという。

 第1楽章の闊達さ、雄弁さ。ユーモア、歌心も十分。音色も素晴らしく、クリアーである。カデンツァはモーツァルトのオリジナルである。第2楽章。バーンスタインがオーケストラをじっくり歌わせている。ピアノもじっくり歌い上げていく。音色も絶妙である。オーケストラとピアノが見事に調和して、素晴らしい世界を作り出している。ここでもカデンツァが入り、モーツァルトのオリジナルである。第3楽章。主題と変奏によるフィナーレ。バーンスタインがオーケストラからユーモラスな響きを引き出している。ピアノに入ると、クリアーな音色、オーケストラとも見事な調和を見せる。

短調の部分は歌心たっぷりだった。長調に戻ると、闊達さ、ユーモアたっぷりな雰囲気に戻る。コーダはプレスト、素晴らしい調和となって、締めくくる。

 モーツァルトは、ピアノ協奏曲では主題と変奏をよく用いている。ベートーヴェンは、もっぱらロンドが中心となっている。第5番 Op.73「皇帝」の第2楽章のみ、主題と変奏を用いている。モーツァルトの場合、予約演奏会ではピアノ協奏曲中心で、ピアノの妙技・音楽とのバランスを取りつつ、音楽的な深みを追及したことが見て取れる。交響曲は取り上ていただろうか。