クリスティアン・ツィメルマン ショパン ピアノソナタ 第3番 Op.58

 クリスティアン・ツィメルマン、ショパン、ピアノソナタ 第3番 Op.58。ツィメルマンのショパンは、ポーランドの血が感じられる。ショパンへの思いに溢れている。ルービンシュタイン、マルクジンスキ、ハラシェヴィチ、ツィメルマン、ヤヴォンスキと続くポーランドの流れは、ショパン演奏を語る上では必須である。

 第1楽章の壮大さ、第2楽章もスケールの大きな演奏である。第3楽章での素晴らしい歌心。ため息が出るほどである。ショパンの世界が広がっている。第4楽章はスケールの大きさ、壮大さが見事である。

 1844年、ショパンは、故郷ポーランドの父親の訃報が入り、持病の結核も悪化した。そんなショパンを見たジョルジュ・サンドは、ポーランドの姉、ルドヴィカを呼んで、フレデリクに会わせた。そんな中で生まれた傑作である。この3年後、サンドの娘、ソランジュと彫刻家アンドレ・クレサンジェ夫妻とサンドとの諍いが原因で、サンドとショパンの間は破局する。ショパンの死の直前、ルドヴィカがやって来て、フレデリクの看病に当たる。サンドは、ルドヴィカがフランスにやって来たことを聞き、ショパンの容体を聞き出そうとしても、ルドヴィカは取り合わなかった。

 晩年のショパンを思うと、ソナタの到達点となった名作である。