ヤマハ音楽講師ユニオン結成

 ヤマハ音楽教室の女性ピアノ講師が全国の講師仲間に、

「ユニオンを作りませんか。」

とツィッターで呼びかけた。新型コロナウィルスでレッスン休講になったとはいえ、月収の2割ほどの「お見舞金」だけ、これはおかしいと思った女性ピアノ講師が、

「他の先生たちは、どう思っているんだろう。」

とツィッターで検索すると、様々な悩みのツィートが出て来た。LINEでグループを結成、思いを文字化する中、「レッスン外業務」の一つ、発表会では1日10~14時間拘束で謝礼が5000円、これではどうにもならない。発表会のための身だしなみも必要とはいえ、ピアノ講師をこれだけ見下すようなことでは誰も納得できない。ベテラン講師も、

「後に続く人のために、ダメなことはダメと言わないと。」

と考えるようになった。そこには、ピアノ講師は個人事業主とみていたヤマハの考えがあった。休業手当・最低賃金・労災もない。これでは委託に名を借りた搾取ではないか。仕事中のケガすら補償もない。個人事業主だからと言って見下していたヤマハは、講師たちの労働組合結成をどう見たか。

 2020年11月19日、ヤマハ音楽講師ユニオン結成となり、記者会見で次のような方針を打ち出した。

 

   1.レッスン外業務への適切な報酬の支払い。

   2.仕事が原因のケガ・病気への補償。

   3.コロナ下などでの事業者都合の休業などへの補償。

 

ヤマハのマニュアル通りなら労働者であり、個人事業主ではない。今まで、ヤマハをはじめ、音楽教室事業者たちは音楽講師を個人事業主として軽視、何の保証もなく使い続けてきた。新型コロナウィルスが音楽講師たちの権利を主張する機会になった。

 さらに、労働組合のオンライン化でかえって、労働組合への関心が増したという声もある。それでも、講師たちが労働組合結成の過程で意見の対立もあり、「抜けようか」と悩んだこともある。信頼醸成も難しかった。こうした葛藤を乗り越えた結成は大きいだろう。

 音楽教室の講師たちが新型コロナウィルスの中で、自分たちの権利を主張するようになったことは大きな前進である。ヤマハが川上ファミリーの支配下にあった時期だったらどうだったか。できなかっただろう。川上ファミリーの手を離れたヤマハだからこそできた。音楽教室の講師たちの生活が改善されることを望みたい。