ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ベートーヴェン 交響曲第1番 Op.21

 没後60年以上経つとはいえ、多くの人々を魅了してきたヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)のベート―ヴェン交響曲全集はヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、バイロイト祝祭管弦楽団を指揮したものになっている。なぜか、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のものはない。

 第1番は、ベートーヴェンの交響曲の出発点。第1楽章、衝撃の序奏から主部への移行は見事。古典的でありながら、新しい息吹に満ちている。推進力も聴きもの。第2楽章、フガート風な始まりの主部には、ベートーヴェンならではの深い歌が聴こえて来る。第3楽章はメヌエットというものの、スケルツォになっている。ピアノソナタ第1番、Op.2-1、第3楽章も同様である。古典の衣を着つつも、新しい表現を求めるベートーヴェンの姿を映し出している。第4楽章、いささかハイドン風に聴こえるとはいえ、ベートーヴェンの特性も顔を出す。

 今でも、フルトヴェングラーの崇拝者の多いことには頭が下がるとはいえ、人間としてのフルトヴェングラーを見ると、ナチスとの対決など神話になったものの、果して真実だったか。怪しいものと言わざるを得ない。自己中心的で、策謀家だったとも言われる。今後、真実のフルトヴェングラーが出て来るかもしれない。

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コメント: 1
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    小川輝彦 (火曜日, 10 3月 2020 23:08)

    フルトヴェングラー愛好歴55年余です。博士のベートーヴェン演奏には定評がありますが、この第一番は1952年11月〜12月のセッション録音3曲(#1,#3/4)の一つです。ハイドンやモーツァルトの影響などをあまり強調せず、ひたすらベートーヴェンの特徴を前面に出した、中後期作品のようなスケール大きな演奏です。