クリストファー・ホグウッド ヘンデル リナルド その1

 クリストファー・ホグウッドによるヘンデル「リナルド」。トルクァード・タッソ「エルサレムの解放」を基にした3幕のオペラ・セリアで、ジャコモ・ロッシの台本による。ホグウッドは1711年初演版によっている。

 ゴッフレードはベルナルダ・フィンク、アルミレーナがチェチーリア・バルトリ、リナルドがディヴィッド・ダニエルズ、エウスターツィオがダニエル・テイラー、アルガンテがジェラルド・フィンレー、アルミーダがルーバ・オルゴナソーヴァ、ファーゴ・クリスティアーノがへジャン・メータ、シレーナがアナ=マリア・リンゴン、キャスリーン・ボット、伝令がマーク・パドモアである。

 バロック・オペラ上演に相応しいキャスティングによるレコーディングと言えよう。フィンクによる堂々たる歌唱、バルトリの様式感たっぷりの歌唱ぶりは素晴らしい。ダニエルズ、テイラーの歌唱も聴き応え十分。当時、カストラートが演じていた役柄はカウンター・テノールが相応しいだろう。ゴッフレードもカウンター・テノールが演じてもよいことになる。フィンレーの威厳あるアルガンテも聴きどころだろう。オルゴナゾーヴァも傑出した歌手である。

 史実の十字軍はどうだったか。東ローマ帝国では、十字軍兵士たちの言動は芳しくなかった。イスラム教徒からすれば、キリスト教徒による侵略にすぎなかった。キリスト教徒たちがエルサレム王国を建国した際、ユダヤ人、イスラム教徒たちへの虐殺が続いた。そうした面を見ると、十字軍の残虐さもしっかり見据えるべきだろう。また、ヨーロッパにイスラム思想・文化が伝わり、新たな発展の礎にもなった。十字軍はヨーロッパ諸国には一大転機となった。

 ホグウッド率いるエンシェント室内管弦楽団は、ヘンデルの音楽をしっかり捉え、見事な演奏ぶりを示している。