アンジェラ・ヒューイット バッハ・オデッセイ 9

 アンジェラ・ヒューイット、バッハ・オデッセイ、第9回はバッハ、イギリス組曲第1番、BWV806、第2番、BWV807、第3番、BWV808を中心に組曲、BWV823、前奏曲とフーガ、BWV894によるブログラムだった。(1日

紀尾井ホール)

 ヒューイットのバッハへの情熱が伝わってくる。歌心十分、深い精神性にも欠けていない。イギリス組曲はヴァイマール時代からケーテン時代初期にかけての作品で、前奏曲ーアルマンドーークーラントーサラバンドージークの定型を踏みつつ、ブーレ、ガヴォット、メヌエット、パスピエをはさんでいる。いささか保守的とはいえ、荘重さが漂う。

 第1番での明るさと荘重さ、第2番、第3番での重厚さが素晴らしい。ブーレ、ガヴォットでは長調と短調の対比がくっきりしていたし、サラバンドでの深い歌心は感動的だった。それゆえ、ジーグの重みが伝わってきた。

 組曲、BWV823は前奏曲ーサラバンドージーグによる構成とはいえ、サラバンドの深みある歌心は絶品。ジーグも古典主義への道を示しているかのようだった。前奏曲とフーガ、BWV894はバッハのヴィルトゥオジックな面を押し出した演奏とはいえ、歌も十分。この作品がライプツィッヒ時代のクラヴィーア、フルート、ヴァイオリンのための3重協奏曲、BWV1044となったことも頷ける。

 アンコールでのバロックの小品が味わい深かった。後半が楽しみである。