サントリー芸術財団 サマー・フェスティバル 2019

 サントリー芸術財団(音楽財団から改称)サマー・フェスティバル、2019年はジョージ・ベンジャミン、オペラ「リトゥン・オン・スキン」日本初演、ジュネーヴ出身のフランス系スイスの作曲家、ミカエル・ジャレル(1958-)のオーケストラ作品を中心としたコンサート、第29回サントリー芥川也寸志作曲賞、選考演奏会を聴いた。(29日 30日 31日 サントリーホール)

 ベンジャミンのオペラはサントリーホールでのホール・オペラ上演を活かした舞台で、休憩なしであった。中世フランスの作家、ギヨーム・ド・カプスタン「心臓を食べた話」に基づく。貴族とその妻アニエス、3人の天使が登場、天使が細密画本を書く少年、ヨハネ、マリアに姿を変えて登場する。貴族が細密画本を作る少年を城に招いたことから、妻が自我に目覚める。貴族が少年を殺し、その心臓を妻アニエスに食べさせ、殺そうとするものの、アニエス自ら死を選ぶ。3人の天使たちがその有様を見つめる。大野和士、東京都交響楽団をはじめ、アンドリュー・シュレーダー、スザンヌ・エルマーク、藤木大地、小林由佳、村上公太が素晴らしい舞台を見せた。

 ミカエル・ジャレルのオーケストラ作品。ヴァイオリン協奏曲「4つの印象」はヴァイオリンの特徴を生かしつつ、見事なまとまりを見せた。ルノー・カプソンのための作品で、カプソンの見事さが光る。「今までこの上なく晴れわたっていた空が突然恐ろしい嵐となり」は、一瞬の天候の急変、人生の突然の悲劇を描いたもので、心を打つ作品。横井祐美子「メモリウムⅢ」は聴き応え十分。アルバン・ベルク、3つの小品、Op.6は12音技法に寄りながら、旋律性豊かなベルクの特性が現れた作品。パスカル・ロフェ、東京都交響楽団も素晴らしい。

 第29回芥川也寸志サントリー作曲賞は鈴木治行「回転羅針儀」、稲盛安太巳「擦れ違いから断絶」、北爪裕通「自動演奏ピアノ、2人の打楽器奏者、アンサンブルと電子音響のための協奏曲」の3曲が上った。北爪作品がす素晴らしい発想だった。受賞は稲盛となった。今回から、聴衆の投票が取り入れられたものの、選考に反映されないことは如何なものか。聴き手こそ作品を判断できるはずではないか。新しい試みがあっても、選考に活かていく手立てを考えてはどうか。疑問が残った。