ヴォルフガング・サヴァリッシユ ブラームス ドイツ・レクイエム Op.45

 NHK交響楽団名誉指揮者として日本の聴衆に親しまれ、バイエルン国立歌劇場を盛り立てたヴォルフガング・サヴァリッシュ(1923-2013)の遺産の一つ、ブラームス、ドイツ・レクイエム、Op.45。

 ブラームスの声楽作品の大作、自分を世に送り出したシューマン、母ヨハンナ・ヘンリーカ・クリスティアーネの追悼として作曲。ローマ・カトリックの典礼文によらず、旧約・新約聖書の聖句のドイツ語訳、マルティン・ルター訳によるもので、大切なものを失った人々への希望の歌、癒しの歌として書き上げた。

 第1楽章「悲しむものは幸いかな」を聴くと、ブラームスの音楽の本質、冷たさの中にある暖かさが伝わる。バイエルン放送合唱団がブラームスの奥深さをしっかり歌い上げている。第2楽章「人は草の如く」には神の前での人間の無力さを歌い上げる。オーケストラも渋みの中に暖かさ、大きさを秘めている。「涙の取り入れをしたものは喜びつつシオンに帰る」での喜びの力強い表現。希望である。第3楽章「主よ、告げたまえ」はバリトン独唱が加わる。トーマス・アレンの朗々たる歌いぶりは聴きもの。人間の苦悩を歌い上げ、合唱が喜びを告げる。ヴィーン楽友協会での3楽章による初演が失敗したものの、ブレーメンでの初演が成功する。第4楽章「主の住まいは幸いなり」は合唱が天上の喜びを歌う。第5楽章「悲しみの中にいる者は」はソプラノ独唱による。マーガレット・プライスの真摯な歌唱が聴きもの。ブラームスはバリトン独唱、合唱、オーケストラによる6楽章としていたものの、ソプラノ独唱が加わることで清澄さと癒しの心を表現したものであろう。第6楽章「地に永遠の都なし」

もバリトン独唱が加わる。人の世の虚しさを歌いつつ、天上の救いを高らかに歌う。アレンの独唱の力強さが救いへと繋げる。第7楽章「死する者は幸いなり」は死者への追憶と共に希望を歌い上げて行く。バイエルン放送交響楽団も最上の演奏を聴かせている。

 サヴァリッシュはヴィーン交響楽団を指揮したブラームス交響曲全集もある。こちらもじっくり聴きたい。

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コメント: 1
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    桜木敬 (土曜日, 28 9月 2019 11:06)

    素敵なコメント有り難うございます。私はフランス人の指揮者(フルネ、ミュンシュ、クリュータンス)の醸し出す音色が好きです。