菅野雅典 ピアノリサイタル メンデルスゾーン・シューマン全曲シリーズ 5


 菅野雅典、メンデルスゾーン・シューマン作品全曲演奏シリーズ、第5回を聴く。(19日 東京文化会館 小ホール)今回はメンデルスゾーンがスコットランド・ソナタ、Op.28、シューマンが幻想曲、Op.17を中心としたプログラムで、メンデルスゾーン、前奏曲とフーガ、Op.35-2、シューマン、アレグロ、Op.8、クラーラ・シューマン、前奏曲とフーガ、嬰へ短調、ファニー・ヘンゼル、序奏とカプリッチョ、ロ短調を取り上げた。

 クラーラはローベルトと共にバッハ、ベートーヴェン研究を日課としていた。ローベルトには4つのフーガ、Op.72、7つのフゲッタ、Op.126、オルガンのためのBACHの名による6つのフーガ、Op.60がある。クラーラの作品はその成果の一つで、1845年のローベルトの誕生日プレゼントとなった。そこにはメンデルスゾーンへのオマージュも感じ取れる。聴き応えのある作品だった。

 ファニーの作品はヘンゼル家のイタリア旅行中の作品で、こちらも聴き応え十分の作品だった。これはフランスの作曲家ジョルジュ・ブスケ、シャルル・グノーの評価も得た。ファニーの再評価が進んだ今、取り上げる機会が増えることを望みたい。

 メンデルスゾーンの前奏曲とフーガはバッハ、平均律クラヴィーア曲集へのオマージュとはいえ、ロマン主義の傑作のひとつとして再評価すべきではないだろうか。演奏から感じられてきた。スコットランド・ソナタはスケールの大きさ、歌心が調和していた。

 シューマン、アレグロの自由闊達さ、歌心が素晴らしい。幻想曲ではキズがあった箇所は惜しいとはいえ、シューマンの音楽の本質をしっかり捉えていた。歌心と物語。全て一体化していた。

 アンコールはクラーラ・シューマン、ロマンス。ローベルトに先立たれた悲しみが伝わる。ブラームス、インテルメッツォ、Op.118-2。深々とした歌心が素晴らしい余韻を残した。次回はどのようなプログラムになるだろうか。