ユーディ・メニューイン、ヴィルヘルム・ケンプ ベート―ヴェン ヴァイオリン・ソナタ Op.30-1,2,3

 ユーディ・メニューイン、ヴィルヘルム・ケンプによるベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタはOp.30-1,2,3に入って来た。ベートーヴェンが新たな創作期に入り、意欲的な試みを行っていく。

 Op.30-1。第1楽章。ヴァイオリン、ピアノがポリフォニックに動き、調和していく。一見古典的とはいえ、抒情性たっぷりである。メニューイン、ケンプの息の合った演奏が楽しめる。第2楽章の歌心。若手には出せない、深みある味わいは絶品である。第3楽章の変奏曲では息の合った、歌心に満ちた演奏が素晴らしい。

 Op.30-2。ベートーヴェンらしいハ短調である。第1楽章から気迫こもった演奏が聴かれる。ケンプのピアノもこでは勇壮に響く。メニューインも気迫十分で応えている。緊迫感溢れる名演となっている。第2楽章の素晴らしい歌が聴きもので、内面からにじみ出るものとなっている。第3楽章。暗いハ短調に対してハ長調のスケルツォ。ある種の安らぎがあっても、つかの間だろう。第4楽章の不気味な出だし。大きく展開する。メニューイン、ケンプがスケールの大きな音楽作りを心掛けている。円熟した演奏家に許される内面性豊かな音楽。コーダの迫力は素晴らしい。

 Op.30-3。第1楽章。抒情性豊かでスケールの大きな音楽が広がっていく。歌心たっぷりで、ベートーヴェンが好んだ自然への憧れが伝わってくる。「田園ソナタ」と言えようか。第2楽章。メヌエット風で歌心に満ち、メニューイン、ケンプの至芸に接することができよう。深みたっぷりの音楽は絶品である。第3楽章。ピアノ、ヴァイオリンが素晴らしい調和を取りながら、スケールの大きな音楽に発展していく。メニューイン、ケンプが全霊を傾けて音楽を作り上げていることが読み取れる。

 老齢ならでの衰えもあろう。しかし、若手には出せない味わい深さ、内面性豊かな音楽は得難いものである。素晴らしい遺産である。