サントリー音楽財団 サマーフェスティバル  野平一郎 オペラ「亡命」

 サントリー音楽財団サマーフェスティバル、2018年は野平一郎、オペラ「亡命」初演で幕を開けた。1956年のハンガリー動乱で亡命を果たし、西側へ脱出、世界的な作曲家になっていくべーラ・ベルケシュ、ハンガリーに残ったもののパリなどから招かれるようになったゾルダーン・カトナ。この2人の作曲家、妻たち、子どもたちを軸に物語が展開する。東ヨーロッパの社会主義国家の現実、真の自由を求め、西側に出たとはいえ、社会主義体制が崩壊した今、「亡命」とは何だったか。重い問いかけである。(23日 サントリーホール ブルーローズ)

 ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、ホルンによる器楽編成。ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトン、バス・バリトンからなる5人の歌手による室内楽的な小オペラとはいえ、オペラとしての完成度も高かった。藤原亜美、川田知子、向山佳絵子、山根孝司、高木綾子、福川伸陽といった奏者たち、幸田浩子、小野美咲、須鈴木准、松平敬、山下浩二といった歌手陣が「亡命」という重いテーマを見事に描きだしたと言えよう。

 セミ・ステージ形式でも十分上演できる機能を備えた作品としても注目したい作品である。