マルクス・シュテンツ マーラー 交響曲第1番「巨人」

 ドイツの中堅指揮者、マルクス・シュテンツによるマーラー、交響曲第1番「巨人」を聴く。シュテンツはフォルカー・ヴァンゲンハイム、小澤征爾、レナード・バーンスタインに師事、ケルン・ギュルツェニッヒ交響楽団、ヒルデスハイム放送フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めている。

 これはOEHMSレーベルによるマーラー交響曲全集からの一つで、OEHMSはドイツ、オーストリアでは注目すべき演奏家たちによる全集ものをリリースしている。中にはロシアなどの注目株もいる。

 全体はもともと5楽章形式で、第1楽章は「終わりなき春」、第2楽章として「花の章」、第3楽章、スケルツォは「全霊を込めて」「コメディア・フマーナ」による2部構成、第4楽章は「カロの手法による葬送行進曲」、第5楽章は「地獄から天国へ」という構成だった。現在の4楽章構成とし、標題をそぎ落としたことがかえって、マーラーの出世作としての交響曲に相応しいものとなった。

 第1楽章を聴くと、青春の喜びにあふれている。第2楽章はレントラー風のスケルツォ、生気に満ちている。トリオはゆったりしたテンポで、じっくり歌い上げて行く。スケルツォに戻り、華々しく閉じて行く。第3楽章は「さすらう若者の歌」で用いた旋律に基づく葬送行進曲。陰鬱な気分に満ちている。第4楽章は英雄の闘い、勝利を描く。勝利のファンファーレが響き、壮麗なフィナーレとなる。

 この交響曲ではE.T.A.ホフマンの影響があるとされる。マーラーもホフマンに影響されただろうか。