デュオ・カサド 愛の言葉

 パブロ・カザルス(1876-1973)とともにスペインを代表する名チェリスト、ガスパール・カサド(1897-1966)が伝説のピアニスト、原智恵子(1914-2001)とともに残した「愛のことば」は、このデュオの素晴らしい遺産だろう。1963年、旧ソ連時代のレコーディングである。

 フレスコバルディ「トッカータ」の素晴らしさ、ベートーヴェン「魔笛」の主題による7つの変奏曲、WoO.46ではピアノとチェロの掛け合いが聴きもの。シューベルト「アレグレット・グラツィオーゾ」の伸びやかさ。グラナドス「ゴィェスカス」より間奏曲のスペインの情熱、哀感はどうか。フォーレ「エレジー」Op.24は朗々と歌い上げるチェロ、それを支えるピアノが素晴らしい調和を生み出している。ラヴェル「ハバネラ形式の小品」にもスペインの香りがそこはかとなく漂う。カサド「愛のことば」には、紛れもなくカサドが優れた作曲家であったことを示す。

 1966年、カサドに先立たれた原はカサドを記念した「ガスパール・カサド・コンクール」を立ち上げ、1990年を最後に帰国、2001年、86歳でこの世を去った。あまりにも日本人離れした感覚がかえって、当時の音楽評論家たちには気に入らず、野村光一などからバッシングを受けた。というより、女性蔑視だろう。優れた女性への妬みが強い日本の風土は変わらないようである。