田部京子 ピアノリサイタル シューベルトプラス 第4回


 桐朋学園大学院大学教授を務める田部京子が、シューベルトを中心としたリサイタルシリーズ、第4回を行った。(22日 浜離宮朝日ホール)シューベルト、4つの即興曲、D.935、メンデルスゾーン、夏の名残のバラによる幻想曲、Op.15、シューマン、カーナヴァル、Op.9によるプログラムであった。

 シューベルトではピアノの温かみある、深々とした音色が会場を満たし、歌心たっぷりの演奏であった。第1曲の堂々たる風格、第2曲のしっとりした美しさ、第3曲の変奏の性格付けは素晴らしい。第4曲のハンガリー風の旋律、情熱を帯びた響きも聴きもので、決してこれ見よがしではなかった。

 メンデルスゾーンはイギリス民謡「夏の名残のバラ」に基づく作品とはいえ、めったに演奏されない。そのような作品の美点を活かし、たっぷりした音色でじっくりと聴かせた。2009年の生誕200年以来、ようやくメンデルスゾーンの作品に日が当たり始めたことを実感した。

 シューマンはロマン主義の本質を捉えた名演であった。エルネスティーネ・フォン・フリッケンとの恋愛が中心となっているものの、エルネスティーネがフリッケン男爵の婚外子であったことのみならず、貴族の令嬢にしては教養に欠けたこともシューマンはがっかりしたに違いない。貴族の場合、婚外子はよくあったようで、エルネスティーネもその一人だった。そういう事情もあって、教養のない子女も少なくなかった。

 アンコールはシューマン、交響練習曲、Op.13から遺作変奏5、こどもの情景、Op.15から「トロイメライ」。素晴らしい締めくくりだった。