ヘルムート・ヴァルヒャ バッハ パルティータ第1番 BWV825 第2番 BWV826 第3番 BWV827

 バッハのライプツィッヒ時代初期の傑作のひとつ、クラヴィーアのための6つのパルティータから第1番、BWV825,826,827をバッハ演奏の大家、ヘルムート・ヴァルヒャ(1907-1991)で聴く。ライプツィッヒ生れ、幼年期の予防接種が原因で視力を失い、オルガン、クラヴィーアでバッハの全作品をレコーディング、バッハ演奏の規範となっている。

 ライプツィッヒはドイツの音楽の魂と言うべき偉大な演奏家を生み出している。バッハではヴァルヒャ、ベートーヴェン、ブラームスではヴィルヘルム・バックハウスがいる。ドイツ音楽の魂と言うべき名演奏家を生み出した都市としても忘れ難い。

 第1番、プレリュードはかつて仕えたケーテンのレオポルト候に世継ぎが生まれたたため、この候子に捧げられているためか、バッハの献辞を聴くような気がする。アルマンド、コレンテ、サラバンド、メヌエットには歌が満ち溢れている。生気に溢れるジーグは素晴らしい。

 第2番、シンフォニアの堂々たる序奏、アダージョの歌、アレグロでの推進力。見事である。アルマンドのたっぷりした歌、クーラントの風格と歌、サラバンドの深々とした歌、活気あふれるロンド、カプリツィオはジーグの代わりとはいえ、もはや、バッハが既存の組曲形式にこだわらなくなったことを示している。生気溢れる締めくくりになっている。

 第3番、ファンタジアの自由でありながらも歌に溢れる演奏に始まり、アルマンドも歌に満ちている。コレンテの堂々とした演奏、サラバンドの自由さ、ブルレスカ、スケルツォのユーモアの中に秘められた深みは聴きものである。ジーグの堂々たる締めくくりは圧巻である。

 ヴァルヒャのバッハ演奏に耳を傾けて見ると、ドイツの風土に根差したどっしりしたものが感じられる。グレン・グールドのバッハ演奏とは違う、深遠な世界である。コープマン、レオンハルトなどの演奏も素晴らしいとはいえ、もう一度聴き直すべき演奏ではなかろうか。