アンジェラ・ヒューイット バッハ・オデッセイ 第5回 第6回


 カナダの女性ピアニスト、アンジェラ・ヒューイットのバッハ オデッセイ 第5回、第6回は平均律クラヴィーア曲集 第1巻、ゴールドベルク変奏曲を取り上げた。(22日、24日 紀尾井ホール)

 平均律クラヴィーア曲集 第1巻ではケーテンからライプツィッヒへと移りゆくバッハの音楽世界をたっぷり味わうことができた。最近人気が上って来たイタリアの名器、ファツィオリを用い、2声から5声のフーガをはじめ、プレリュードの多様性を聴き手の前に示した。歌心、深みに溢れた演奏だった。

 ゴールドベルク変奏曲は2015年、王子ホールでのコンサートより表現に深みが増していた。この変奏曲における表現の多様性、深い歌心がホールを満たしていった。主題のアリアがたっぷり歌われ、第1変奏から第30変奏に至るまで、歌心とヴィルティオジティ、フランス風序曲のファンファーレ、深い嘆きのアリア、クォドリベットをへてアリアに戻る。ここは繰り返しなしで、「これでおしまい」と言うかの如くであった。全身全霊を傾けた名演と言えよう。

 9月の平均律クラヴィーア曲集 第2巻が楽しみである。