清水和音 ピアノ主義 第9回

 2013年から続く清水和音のリサイタルシリーズ、ピアノ主義も大詰めを迎えた。これまで務めていた東京音楽大学教授を退き、演奏家としての道を歩んでいく。今回はショパン、スクリャービン、ラフマニノフといったスラヴ系音楽によるプログラムとなった。

 ショパンはバルカローレ、Op.60、子守歌、Op.57、4つのマズルカ、Op.24、ソナタ第2番、Op.35「葬送」を取り上げた。歌心、深々とした音色が円熟ぶりを伝えた。ソナタのテーマ「死」を捉え、一気に墓場の虚無感へと突き進む気迫が素晴らしい。

 スクリャービンは4つの前奏曲、Op.22、ラフマニノフは楽興の時、Op.16を取り上げた。たっぷりした音、歌心は作品の性格に相応しく、重厚さ、ロシアの暗さが調和した名演となった。

 アンコールはなかったものの、10月でこのシリーズも終了する。ベートーヴェン、ショパン、リストのソナタ3曲を取り上げ、締めくくりとなる。どんな演奏になるだろうか。