マリア・ジョアン・ピレシュ ピアノリサイタル


 マリア・ジョアン・ピレシュ、日本最後のコンサート、モーツァルト、シューベルトアーベントとなった。どちらもピレシュ得意の作曲家である。モーツァルトのピアノソナタ全集で日本のレコード界にデビューして話題になった以上、当然だろう。シューベルトも同様だろう。(17日 サントリーホール)

 ソナタ、K.332,K333にはモーツァルトの音楽が自由に息づき、素晴らしい躍動感、歌心に溢れていた。モーツァルトの音楽の本質が身についている。シューベルトは4つの即興曲、D.935が暖かみのある音色、深い歌心に支えられ、シューベルトの音楽の本質が伝わって来た。アンコールでは3つの即興曲、D.946-2を演奏、死に向かうシューベルトの心境が伝わった。

 これまで、テノールのルーファス・ミュラー、チェロのパヴェル・ゴムツィアコフをはじめ、日本のピアニストを含む若い演奏家たちとともにコンサートを開催して、将来性ある演奏家たちを育成したり、巨匠アントニオ・メネセスとの共演もあったりした。今年限りで引退する今、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトによるリサイタルで来し方を振り返りつつ、日本の音楽ファンたちへの感謝としたことは何者にも代えがたい贈り物である。

「ありがとう、ピレシュ」