ヴィルヘルム・バックハウス バッハ イギリス組曲 第6番 BWV811

 ヴィルヘルム・バックハウスのバッハ演奏の貴重な遺産の1つ、イギリス組曲、第6番は作品の性格からしても堂々たる風格が漂う。

 プレリュードでは、序奏の歌心、主部の堂々たる風格が素晴らしい。アルマンドでの風格溢れる歌、クーラントの堂々たる風格、サラバンドでの深々とした歌心と内面性は聴きものである。変奏でも深々とした歌心、内面性が際立っている。ガヴォット主部の闊達さ、歌心溢れるトリオとの対比が際立つ。ジーグの推進力も見事。

 バックハウスは日頃から音階、アルペッジョを練習後、バッハ、平均律クラヴィーア曲集をはじめとした作品を演奏して来た。それがベートーヴェン、ブラームスに結び付いている。リストの難曲を弾きこなせるよりも大切ではなかろうか。その意味で、バッハの大切さ、重さを誰よりも知っている。

 ライプツィッヒがドイツ音楽の魂といえる鍵盤音楽奏者を産んだことは大きい。バッハではヘルムート・ヴァルヒャ、ベートーヴェン、ブラームスではバックハウスを産んだ。その意味で素晴らしいモニュメントである。