ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ニューイヤーコンサート 1979

 新春恒例のヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ニューイヤーコンサート、1979年はヴィリー・ボスコフスキー最後のコンサートとなった。また、このコンサート・ライヴ録音が原盤となったデッカ最初のデジタル録音だったから、二重の意味で記念碑的なレコーディングとなった。

 これ以降カラヤン、マゼール、カルロス・クライバー、アバード、ムーティ、バレンボイム、マリス・ヤンソンス、プレートル、アーノンクール、ヴェルザー=メスト、ドゥダメル、小澤征爾といった巨匠たちが登場する。

 ボスコフスキーのヴィンナ・ワルツ、ポルカは、ヴィーンの香りが漂う。また、自らヴァイオリンを弾きつつ指揮を執るさまは、ヨハン・シュトラウス2世そのものだろう。

 曲目を見ると、ヨハン1世のワルツ「ローレライーラインの調べ」Op.154、ヨハン2世のポルカ「お気に召すまま」Op.372、チック・タック・ポルカ、Op.365、ポルカ「狩り」Op.373、ポルカ「浮気心」Op.319、ワルツ「酒・女・歌」Op.333、「我が家で」Op.361、ヨーゼフのポルカ「モダンな女」Op.282、「風車」Op.57、「ルドルフスハイムの人々」Op.152、ヨハン、ヨーゼフ「ピツィカート・ポルカ」、エドゥアルトのポルカ「ブレーキかけずに」Op.238、ツィーラー、ワルツ「ヘラインシュパツィール」Op.518、スッペ、喜歌劇「美しいガラテア」序曲、最後はヨハン2世、ワルツ「美しき青きドナウ」Op.314、ヨハン1世「ラデツキー行進曲」Op.228で締めくくる。

 ツィーラーは1843年生まれ、1922年に世を去っている。シュトラウス一族の伝統を引き継ぎ、落日のオーストリアを彩った作品を残している。「ヘラインシュパツィール」はその一つだろう。ヴィンナ・ワルツの定型を踏まえつつ、素晴らしい音楽を生み出している。スッペもヴィンナ・オペレッタの雰囲気を伝えている。シュトラウス一族はツボを捉え、じっくり聴かせる。いくつかの作品では、カルロス・クライバーと比較してみたい。ヨハン2世のポルカ「狩り」Op.373がアンコールされ、会場を沸かせた光景も伝わって来る。

 「美しき青きドナウ」の前には新年の挨拶がある。ボスコフスキーの手にかかると、ヴィーンの香りが引き立って来るから不思議である。「ラデツキー行進曲」では会場の拍手で盛り上がり、「また会おう」、「よい1年になるように」とさまざまだろう。ヴィーンが匂うニューイヤーコンサートはもはや聴けない。それがボスコフスキーの最後のコンサートである。