カール・リヒター ミュンヒェン・バッハ管弦楽団 合唱団 バッハ クリスマス・オラトリオ BWV248 その1

 20世紀のバッハ演奏に大きな足跡を残したカール・リヒターは、鈴木雅明、樋口隆一に大きな影響を与えている。その遺産の一つ、バッハ、クリスマス・オラトリオ第1部~第3部を聴く。ソリストはグンドゥラ・ヤノヴィッツ、クリスタ・ルートヴィッヒ、フリッツ・ヴンダーリッヒ、フランツ・クラス、トランペットにモーリス・アンドレ、ヴァイオリンにオットー・ビューヒナー、フルートにパウル・マイゼンを迎えた。

 バッハ合唱団の素朴なまでに力強い合唱は、ドイツのクリスマスに相応しい。36歳で事故死したヴンダーリッヒのエヴァンゲリストが見事で、数少ない遺産だろう。ルードヴィッヒの心に染み入る歌唱も聴きもので、全体を引き締めている。クラスの堂々たる歌唱も忘れ難い。キリスト誕生を伝えるシンフォニアも素晴らしい。ヤノヴィッツも心に訴えていく歌唱が素晴らしい。キリスト降誕を伝える第2部のしみじみとした味わいが印象に残る。羊飼いたちがイエス降誕を祝福する第3部の深々とした表現も捨てがたい。

 ヤノヴィッツの歌唱を聴くと、カラヤンの許で歌うよりリヒター、ベームなどの許で歌った方が本領を発揮しているような気がする。アンドレ、ビューヒナー、マイゼンが華をそえ、クリスマス気分を盛り上げている。リヒターの真摯さが際立った輝きを見せ、クリスマスの本質を伝えている。