ピエール=ロラン・エマール ピアノリサイタル


 フランスの中堅、ピエール=ロラン・エマールがオリヴィエ・メシアンの大作「幼子イエススにそそぐ20のまなざし」に取り組んだ。この作品によるリサイタルは、2000年、ミシェル・ベロフが東京オペラシティ・コンサートホールで行って以来、16年ぶりになるためか、多くの聴衆を集めた。(6日 東京オペラシティ・コンサートホール)

 メシアンがローマ・カトリック信仰に基づく作品には、ドイツでの捕虜生活中に作曲した「世の終わりのための四重奏曲」(1941年)がある。この作品はパリ解放の年、1944年に完成している。フランスがドイツの占領下から解放されたことを神に感謝したという意味でも大きいだろう。

 マリアのイエス・キリスト受胎、イエス・キリスト誕生、エピファニー、イエスの布教の始まり、受難、復活、教会の形成をさまざまな角度で描き、ピアニスティックな技法も用いつつも音楽の深みも忘れていない。メシアンの信仰告白である。エマールは、メシアンの信仰告白の本質に迫る、素晴らしい名演を聴かせたと言えよう。

 因みに、エマールもメシアン夫人、イヴォンヌ・ロリオに師事している。また、マリア・クルツィオにも師事し、1973年、16歳でメシアン・コンクールに優勝以来、ピアニストとしてのキャリアを重ねて来た。現代音楽にも優れ、初演も多い。メシアンの大作に取り組んだリサイタルはその真頂骨と言えよう。