鈴木優人 バッハ・コレギウム・ジャパン モンテヴェルディ ポッペアの戴冠

 モンテヴェルディ生誕450年記念として、鈴木優人が晩年の傑作「ポッペアの戴冠」に取り組み、素晴らしい成果を上げた。

 暴君ネロと将軍オットーネの妻ポッペアの恋愛。皇后オッターヴィアの知る処となった。そんなオッターヴィアを慰め、力づける哲学者セネカ。しかし、ポッペアはセネカを亡き者にせんとする。オットーネはポッペアへの思いを断ち切れない。そんなオットーネの前に女官ドゥルシッラが現れ、慰める。オッターヴィアはポッペアを殺すよう、オットーネに迫る。ポッペアは愛の神アモーレのおかげで難を逃れる。ネロはオッターヴィアと離婚、ローマから追放した後、ポッペアを皇后に迎えた。

 森麻季のポッペア、レイチェル・ニコルズのネロをはじめ、ディングル・ヤングルのセネカでの威厳ある歌唱が全体を引き締めた。波多野睦美がオッターヴィアで見せた皇后の高貴で威厳ある歌唱も見事だった。藤木大地のアルナルタもコミカルな面を浮き彫りにした歌唱が光る。オットーネのクリント・ファン・デア・リンデも素晴らしい。加秉徹がメルクーリオで聴かせた歌唱も威厳ある神を浮き彫りにした。

 史実では、ポッペアが皇后となった後、皇女を産んだものの僅か数か月で亡くなった。再び妊娠したものの、ネロとの夫婦喧嘩がもとで亡くなった。キリスト教迫害にはポッペアの存在があったとされる。ただ、この時期、ユダヤ人とギリシア人との対立が激化、ポッペアはユダヤ人側に着いたという。ネロがギリシア人に有利な裁定を出したため、66年~70年に至るユダヤ戦争をはじめとした内乱が起った。ネロはその最中に自殺、ヴェスパシアヌスが皇帝となってローマ帝国を立て直すこととなった。

 セミ・ステージ形式による上演形式が素晴らしい効果を上げ、このオペラの性格付けを明確にしたといえよう。音楽家鈴木優人の名を確立した上演としても大きいだろう。