北とぴあ国際音楽祭 ベートーヴェン、シューマン、ショパンが愛したピアノたち

 1995年から始まった北とぴあ国際音楽祭は、東京都北区と公益財団法人、北区文化振興財団が中心となって秋から冬の時期に開催されてきた。その間、北区の財政難から中断、記念事業として継続した時期もあった。2005年から再開となり、今日に至る。(22日 北とぴあ さくらホール)

 今回の「ベートーヴェン、シューマン、ショパンが愛したピアノたち」は、フォルテピアノの第一人者、小倉貴久子がドイツ系イギリス人テノール、ルーファス・ミュラーの共演も得て、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ショパンのピアノ作品、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマンの歌曲を交えたコンサートを行った。

 使用したピアノはモーツァルト、ベートーヴェンがアントン・ヴァルターのレプリカ、歌曲、シューマンがシュトライヒャー、ショパンがプレイエルであった。

 モーツァルト、「ああ、お母様聞いてちょうだい(きらきら星変奏曲)による12の変奏曲」K.265、ベートーヴェン、ピアノソナタ第14番、Op.27-2「月光」ではモーツァルトならではの高貴な響き、ベートーヴェンの革新性が際立っていた。

 ミュラーとの歌曲では、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン本来の味わい深さが伝わってきた。ミュラーの歌唱も素晴らしい。

 シューマン、パピヨン、Op.2ではジャン・パウル「生意気盛り」の場面を彷彿とさせた。第12曲の終り近くになると、物語の結末が目に見えて来るかのようだった。ショパン、ピアノソナタ第2番、Op.35「葬送」では第3楽章のトリオでの即興が入っていたことから、ショパンがパッセージ、装飾を自由に挿入していたことを伺わせるものだった。ショパンが何故、パッセージなどを加えた自筆を残したかも明らかになった。その上でも大いに参考になった。

 アンコールではミュラーと共にボーリーヌ・ヴィアルドーがショパンのマズルカを編曲した歌曲「愛の嘆き」、グノー「アヴェ・マリア」を演奏、コンサートの締めくくりとした。

 歌曲のコンサートでは1曲ごとに拍手が入っていたことは残念である。プログラム全体が終わってから拍手した方がよかっただろう。その点では惜しまれる。