メナヘム・プレスラー ピアノリサイタル


 1923年、ドイツ、マグデブルク出身、ユダヤ系だったためにナチスの迫害を逃れ、イスラエルを経てアメリカに亡命したピアニスト、現在93歳のメナヘム・プレスラーのリサイタルは、ヘンデル、シャコンヌ、HMV.435、モーツァルト、幻想曲、K.475、ソナタ第14番、K.457、ドビュッシー、前奏曲集第1巻より「デルフィの舞姫」、「帆」、「亜麻色の髪の乙女」、「沈める寺」、「ミンストレル」、レントより遅く、夢、ショパン、マズルカ第25番、Op.33-4、第38番、Op.59-3、第45番、Op.67-4、バラード第3番、Op.47を取り上げた。(16日 サントリーホール)

 介添えに支えられ、杖を突き、楽譜を見ながらの演奏とはいえ、ヘンデル、モーツァルトでの豊かな表現力、若々しさ、みずみずしさ、深い歌心は素晴らしい。ドビュッシーの素晴らしい音色、ショパンの歌心溢れる演奏は多くの人々の感動を誘った。アンコールでのショパン、ノクターン、遺作、ドビュッシー、ベルガマスク組曲から「月の光」は素晴らしい音の芸術で、ため息を誘った。ホール全体のスタンディング・オベーションに送られ、ステージを後にした。

 1955年にボザール・トリオを結成、多くの室内楽作品をレコーディングした後、2008年にソロに転じたとはいえ、93歳の今日、現役ピアニストとして活動する姿には恐れ入る。ショパン、バラード第3番では弾きづらさも感じられたとはいえ、音楽の核心を捉えた演奏は深い感動を呼ぶ。長寿を祈りたい。