アンジェラ・ヒューイット バッハ・オデッセイ 第3回

 カナダの女性ピアニスト、アンジェラ・ヒューイットのバッハ全曲演奏シリーズ、バッハ・オデッセイ第3回はパルティータ第1番、BWV825、第2番、BWV826、ソナタ、BWV964、パルティータ第4番、BWV828を取り上げた。(紀尾井ホール)

 ヒューイットのバッハは人間的な温かみたっぷりで、バッハの音楽と一体化している。第1番での歌心たっぷりな演奏、第2番の峻厳さと新しさ、ソナタの厳格さ、第4番の喜びにあふれた演奏。どれを聴いても、バッハの音楽そのものである。パルティータはバロック組曲解体への道を示している。第2番の締めくくりをカプリツィオとしたのは、近代ソナタへの道を示したともいえる。第4番のアリアの自由な曲想からも窺える。

 ソナタはバッハ自身による無伴奏ヴァイオリン・ソナタの編曲で、クラヴィーアによるバロック・ソナタである。峻厳さと歌心たっぷりの演奏で、聴き応え十分だった。

 アンコールは平均律クラヴィーア曲集第1巻から第5番のフーガ。喜びに満ちた締めくくりであった。