グレン・グールド マウリツィオ・ポリーニ シェーンベルク ピアノ曲 Op.33a,b

 シェーンベルクのピアノ作品最後の作品となったOp.33はaが1928年、bが1931年の作品で、ピアノ作品ではこの2曲で打ち止めになっている。1933年1月30日、アドルフ・ヒトラー率いるナチス党が政権の座につき、ヒトラーが首相となった。シェーンベルクはナチスの反ユダヤ主義を嫌い、パリを経てアメリカに亡命、プロテスタント信仰を捨て、ユダヤ教に回帰する。そんな不安の時代を先取りするかのようなこの2曲は、シェーンベルクのピアノ作品の集大成となった。

 グールドは迫りくる不安の時代を先取りするかのような演奏である。ヨーロッパに迫りくる暗雲が立ち込める状況が伝わっている。ポリーニはグールドよりテンポが速めで、緊迫感が漂い、激しい表現である。

 グールドのシェーンベルクへの傾倒ぶりが、CBSコロムビアによるシェーンベルク全集として結実した。また、放送でもシェーンベルクを取り上げた。シェーンベルク受容史でのグールドの功績は大きい。ポリーニもシェーンベルク演奏はもとより、20世紀音楽受容史という視点から見ると、ポリーニの功績も見逃せない。2002年、日本でルネッサンスから20世紀に至る音楽史を辿るコンサート・シリーズを行い、大きな話題を呼んだ。

 グールドにせよ、ポリーニにせよ、20世紀音楽受容史の功績は大きい。その意味でも避けて通れない演奏である。