日本の作曲家再評価への道

 日本アルバン・ベルク協会では、今年のサントリー音楽財団、サマーフェスティバルのプロデューサーを務める片山杜秀が、日本の作曲家再評価に繋がる「日本再発見:戦前・戦中・戦後の日本人作曲家の知られざる名曲」というタイトルで講演会を行った。

 その中で、平尾貴志男(1906-1953)とほぼ同じ年代を生き、忘れられた作曲家となった大沢寿人を取り上げた。大沢は戦前日本のモダニストとして、国際的な評価を得たものの、当時の日本ではあまりにも最先端を行った作曲家だったため、楽壇から冷遇され、早逝と共に忘れられた存在となった。

 また、大阪ラジオ・シンフォネットを結成して、音楽面での啓蒙活動を行ったり、神戸女学院大学で教鞭を執ったりした。ラジオ、宝塚歌劇団関係の音楽を作曲している。自分の思うがままの音楽活動が送れなかったことが、かえって大沢の寿命を縮めたことも否めないだろう。

 片山氏は大沢作品の中から、いくつかを部分的に紹介し、大沢のモダニズムの本質の実例を示した。また、第2次世界大戦中の日本の作曲家たちの創作活動にも言及、戦争という厳しい時代をどう生き抜き、作品を生み出したかも明らかにした。

 7月21日、野平一郎が黛敏郎のピアノ作品を取り上げた際、学生時代の習作もあった。それらを聴きながら、モダニストとしての黛を知ることが出来た。黛がパリに留学したとはいえ、僅か半年で帰国した背景には、大沢の作品に触れていた可能性もあるだろう。これは芥川也寸志などにも言えるだろう。

 いずれにせよ、今年のサントリー音楽財団、サマーフェスティバルでの日本の作曲家再発見が大きな話題を集めるだろう。楽しみである。