ハイペリオンによるシューマン歌曲全集は、ピアニストのグレアム・ジョンソンを中心にさまざまな歌手たちとの共演による。初期の歌曲はマーク・パドモア、クリストファー・モルトマンである。
シューマン自身の詩による「憧れ」、「XXXのための歌」、「羊飼いの少年」、バイロン、ケルナー独訳「泣きながら」、ケルナーの詩による「はかない望み」、「希望の歌」、「秋に」、「アンナに1」、「アンナに2」、ヤコビの詩による「思い出」、ゲーテの詩による「漁師」の全11曲。既に、シューマンの音楽の本質が見え隠れする。1840年、「歌の年」の名歌曲に比べると劣るだろう。「漁師」のドラマトゥルギーの生々しさは見事である。 「秋に」、「アンナに2」はピアノ・ソナタ、Op.11,Op.22の緩徐楽章、「羊飼いの少年」は間奏曲、Op.4の第4曲に転用している。シューマンのピアノ作品を手掛ける場合、この3曲を自ら歌う必要があるだろう。
パドモアの情感深い歌唱、ドラマトゥルギーに溢れるモルトマンの歌唱は聴きもので、初期の作品とは言え、シューマンの音楽の魅力に満ちている。
コメントをお書きください
admin (木曜日, 21 4月 2022 05:52)
1