国立劇場開場50周年記念 伊賀越道中双六

 国立劇場開場50周年記念、歌舞伎公演の最後を飾った「伊賀越道中双六」は、2014年の上演が読売演劇大賞、最優秀作品賞を受賞したため、再演となった。ちなみに、歌舞伎座1月公演では「沼津」が上演されている。

 岡山藩士だった渡辺和馬が姉婿、荒木又右衛門の助力を得て、弟の仇、河合又五郎を討った「伊賀上野の仇討ち」に基づく。今回は「和田行家屋敷」、「円覚寺」、「藤川」、「岡崎」、「伊賀上野仇討の場」による構成である。

 武術師範の上杉家家老、和田行家には嫡男志津馬が沢井又五郎に唆され、遊女に入れあげ、身請けとして名刀「政宗」を質入れしたこと、娘お谷が門弟唐木政右衛門と駆け落ちしたことが悩みの種であった。沢井又五郎は名刀「政宗」を我が物にせんとしていたことを見破ったものの、又五郎に斬られる。佐々木丹右衛門は又五郎から「政宗」を奪い返そうとして斬られ、志津馬・お谷に政右衛門の助力を得て又五郎を討つよう勧め、こと切れる。

 藤川の関所を越えんとした政右衛門は越えられず、抜け道を行き、岡崎の山田幸兵衛の家に向かった。志津馬も娘お袖とともにやって来る。志津馬は又五郎を名乗り、幸兵衛に密書を渡し、お袖と結婚することになる。政右衛門は幸兵衛の許で武術を学んでいた。お谷はわが子を抱き、寒さに震える。政右衛門はわが子を手にかけても仇討を果たさんとする心を知った幸兵衛は、志津馬・政右衛門と共に又五郎を討ち、「政宗」を取り戻した。

 嵐橘三郎の厳格さ、中村京妙の気品、中村錦之助の性格描写、尾上菊之助の凛々しさ、中村米吉の初々しさ、中村雀右衛門の女の思い、中村歌六、中村東蔵の味わい深い演技、何よりも中村吉右衛門のスケールの大きな、素晴らしい演技がドラマを盛り上げた。ぜひ、歌舞伎座でも通しで上演してほしい。