日本リヒャルト・シュトラウス協会 第170回例会 小森輝彦バリトン・リサイタル

 二期会オペラ公演では欠かせない存在となったバリトン、小森輝彦が日本リヒャルト・シュトラウス協会例会でブラームス「美しきマゲローネのロマンス」Op.33を取り上げ、リヒャルト・シュトラウスの歌曲5曲で締めくくった。(13日

OAGホール)

 小森自ら、ブラームス、マゲローネの思い入れが深く、自ら語りを吹き込み、流しながら歌う方式を取った。もっとも、語りを立てて歌うことが本来の姿だろう。語りを入れず、歌のみで通す方式が多いようである。原作となったティーク「プロヴァンスのペーター伯爵とナポリの美しき王女マゲローネのロマンス」は14世紀から語り継がれたロマンスで、ナポリ国王主催の騎馬試合に参加したペーター伯が王女マゲローネと恋に落ち、駆け落ちするもののペーター伯はアラビアのスルタンの許に送られ、マゲローネは羊飼いのもとに身を寄せる。やがて、ペーター伯はスルタンの王女ズリーマと駆け落ちしようとしたもの、マゲローネを思い出し、ようやく2人が再会して結ばれる。

 共演の井出徳彦のピアノが小森の歌唱に寄りそいつつ、ある時は雄弁に、また恋人たちの思い、離れ離れになった恋人たち、ズリーマの無邪気さを描きだした。小森の共感豊かな歌唱は、ブラームスが描きだした世界を私たちの前にしっかり提示した。円熟の極にある歌い手の姿であった。

 リヒャルト・シュトラウスの歌曲5曲も素晴らしい内容で、ブラームスと共に聴くと、リヒャルト・シュトラウスの歌曲はブラームスの歌曲の延長線上にあることを感じた。