高橋悠司 ピアノリサイタル

 現代ものを得意とする高橋悠司が、「めぐる季節とちらし書き、子どもの音楽」をテーマにリサイタルを行った。前半はパーセル、ルイ・クープランの作品、ケージ、自作初演、後半はバルトーク、ブゾーニ、サティ、ストラヴィンスキーの子どものための作品を取り上げた。

 パーセル、組曲第7番はイギリスの品の良さ、ルイ・クープラン、シャコンヌ、パヴァーヌは香り高いフランス趣味が聴きとれた。ケージ「四季」はケージ自身によるピアノ版で、インド思想を打ち出した作品、神秘主義的な性格を浮き彫りにしていた。高橋の自作「ちらし書き」は、古今和歌集を自由な着想で描きだした作品、日本情緒が滲み出ていた。

 バルトーク「10の易しい曲」は、11曲として構想したものが10曲として出版したもの。最初の「献呈」が削られて今の形になった。東欧の匂いが伝わり、子どものための教材としても注目すべき作品である。ブゾーニ「子どものためのソナチィナ」は5楽章形式、ユニークな作品で取り上げる価値がある。サティ「コ・クォが子どもの頃」は1999年に発見された作品、ユーモア、エスプリに溢れていた。ストラヴィンスキー「5本の指」も子どものための教材として注目すべき存在であることを改めて裏付けた。

 アンコールはヴェーベルン「子どもの曲」、子どものためとはいえ、点描技法を用いたヴェーベルンの面目躍如であろうか。リサイタルごとにユニークなプログラムを組む高橋の存在は、日本のピアノ界で注目すべき存在だろう。