東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第304回定期演奏会

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、第304回定期演奏会は日本を代表するバッハ演奏家であり、指揮者としての実績を上げつつある鈴木雅明がヴェーベルン、パッサカリア、Op.1、ベートーヴェン、交響曲第4番、Op.60、バルトーク、オーケストラのための協奏曲を取り上げた。

 ヴェーベルンは、弦のピツィカートによる主題からオーケストラ全体に至る壮大な作品を一気に聴かせていった。この作品には、ブラームス、交響曲第4番、第4楽章へのオマージュが感じられた。ベートーヴェンは、3日のミサ・ソレムニスの名演の余韻が残る中、この作品本来の姿を引き出した。シューマンが「可憐なギリシアの乙女」と評したことで有名でも、ベートーヴェンの音楽の推進力、統一性は見事である。ロマン的な色彩も豊かな作品である。歌心も豊かで、古典的造形力をくっきり引き出した。バルトークは、オーケストラの長所を見事に引き出した秀演で、高く評価したい。

 ヴェーベルン、バルトークは第2次世界大戦に翻弄され、1945年、戦争が終わった直後に世を去っている。ヴェーベルンはヨーロッパに留まったもののナチスの弾圧にあった後、アメリカ軍の誤射によって亡くなった。バルトークはアメリカに亡命したものの、思う様に活動できず、白血病によりこの世を去った。オーケストラのための協奏曲は、セルゲイ・クーゼヴィツキーの依頼による。この2人を取り上げたことは、ファシズム・戦争に翻弄された芸術家の悲劇を考える上でも大きいだろう。次回はどんなプログラムになるだろうか。