マルタ・アルゲリッチ、ドナルド・トランプに物申す

 28日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が出した中東・アフリカ7か国の国民の入国を一時禁止するとした大統領令はアメリカ国内を始め、国際的な非難の的になっている。そんな中、26日、ナチスのホロコースト犠牲者追悼のための「国際ホロコースト記念日」を前に、パリのユネスコ本部でユネスコ親善大使のイブリー・ギトリス、マルタ・アルゲリッチがコンサートを開き、ベートーヴェン、ヴァイオリンソナタ第5番、Op.24「春」などを演奏した。

 コンサートの後、アルゲリッチは、

「広島(と長崎の原爆投下)とアウシュヴィッツは人類にとって、最大の悲劇。ともに記憶され続けなければならない。」

と語り、ドナルド・トランプ大統領について、

「人々を引き裂く考え方は容認できない。最も危険なことだ。」

と批判した。この言葉を読みながら、レナード・バーンスタインも同じだっただろうと感じた。

 バーンスタインは音楽による人種差別撤廃を始め、マッカーシズムへの抗議、ベトナム戦争に対してリチャード・ニクソン大統領にも抗議した。社会を見つめ、発言し続けた音楽家でもあった。バーンスタインもドナルド・トランプ大統領に対して抗議しただろう。しかし、トランプ大統領はツィッターで相手を容赦なく攻撃する。そんな大統領はいずれ、ホワイトハウスから去っていくだろう。

 それよりも、アルゲリッチがトランプ大統領に対して「人々を引き裂く」と批判したことは重い。音楽家であっても、社会・政治に対して発言する権利はむろんのこと、発言は大きな意義がある。日本の音楽家たちはドナルド・トランプ大統領の言動をどう捉えているか、発言できるか。アメリカ大統領でありながら、アメリカ憲法を踏みにじる言動への抗議は当然であり、超大国のリーダーに相応しくない言動は、音楽家としても発言すべきだろう。

 その意味でもアルゲリッチの発言は当然である。世界最高のピアニストがドナルド・トランプに物申した意義は大きいだろう。今後、音楽家たちがどのようにドナルド・トランプ大統領にどのような発言をするか見守りたい。