新日本フィルハーモニー交響楽団 第568回定期演奏会


 新日本フィルハーモニー交響楽団、第568回定期演奏会は2016年で没後20年となった武満徹の作品を指揮、井上道義が生涯を辿る形で主要作品を取り上げた。(26日 サントリーホール)

 まず、蓄音機でシャンソン「聞かせてよ愛の言葉を」を流し、武満徹の出発点としての意義を強調した。ベトナム戦争への抗議を表した「死んだ男の残したものは」を大竹しのぶの歌と弦楽合奏、木村かをりのピアノで「2つのレント」から1曲演奏した後、「リタニ― マイケル・ヴァイナーの追悼に」、「弦楽のためのレクイエム」を演奏、オーケストラ全体で「グリーン」を演奏した。

 井上は、武満が「ノ―ヴェンバー・ステップス」を好きではなかったことを語っている。日本の楽器を生かした代表作で、国際的な名声を博したとはいえ、この作品ばかりで自分を評価するような傾向に対する抗議があっただろう。

 後半は「カトレーン」、オーケストラとピアノ、ヴァイオリン、クラリネット、チェロのための作品で、武満の代表作となった。これはピーター・ゼルキン、オリヴィエ・メシアンとの出会いから生まれた。メシアンから「世の終わりのための四重奏曲」のアナリーゼ・レッスンを受け、この作品が生まれた。「鳥は星形の庭へ降りる」は幻想的、かつ神秘主義的な作品であった。最後は弦楽オーケストラで、映画音楽から「訓練と休息の音楽」、「ワルツ」を演奏、このコンサートの締めくくりとなった。

 大竹しのぶをはじめ、木村かをり、チョイ・ムンス、重松希巳江、富岡廉太郎が素晴らしい演奏で、このコンサートを盛り立てたことを評価したい。武満を語りつつ、指揮者としてもしっかりまとめ上げた井上にも拍手を贈りたい。