今も生きるレナード・バーンスタイン

 日本音楽学会東日本支部、特別例会はアメリカ、ハーヴァード大学教授、キャロル・オジャ女史がレナード・バーンスタインの社会活動の源泉となった、クラシック音楽における人種差別撤廃に関する講演を行った。1月20日、アメリカでは人種差別・女性蔑視・排外主義を唱えたドナルド・トランプが大統領に就任したことも手伝い、タイムリーなテーマとなった。

 バーンスタインの社会活動の始まりは1940年代、アメリカのクラシック音楽における人種差別撤廃運動であった。バーンスタインは、クラシック音楽で黒人、中南米系、スラヴ系、アジア系音楽家たちにもアメリカ楽壇での活路を広めんと尽力した。また、クラシックのみならずジャズ、ポピュラー、映画音楽、放送音楽も聴き、アメリカ音楽の多様性への道を開いた。これがアメリカ音楽はもとより、ヨーロッパをはじめ、世界的に影響を及ぼした。ことに、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団が夏に開催したスタディアム・コンサートにはルイ・アームストロング、マリアン・アンダーソンといった黒人音楽家たちが登場した。しかし、メトロポリタン歌劇場をはじめとしたアメリカのオペラハウスは、黒人歌手を締め出していた。指揮者のディーン・ディクソン、エヴェレット・リーはヨーロッパで活躍後、アメリカで指揮台に立っている。

 バーンスタインは、ニューヨーク・タイムズで黒人たちがクラシック音楽の教育を受けられるようにすることを唱えたりした。それがアンドレ・ワッツなどの活躍にもつながっている。また、レーリ・グリスト、グレース・バンブリー、レオンタイン・プライスなどが活躍できるようになった。

 こうしたバーンスタインの活躍が黒人公民権運動につながり、マッカーシズム、ベトナム戦争の折のリチャード・ニクソン大統領への抗議につながった。バーンスタインは平和主義者であり、常に社会を見つめ続けた。今、バーンスタインが生きていたら、ドナルド・トランプに抗議しただろう。その意味でもバーンスタインは今も生き続けているだろう。

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コメント: 1
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    平井正志 (土曜日, 21 1月 2017 22:30)

    バーンスタインは、メロディーメーカーとして天才ですね。
    彼の歌曲は素晴らしい。「I hate music」という歌は、ユーモラスでユニークで傑作です。