第60回 NHKニューイヤー・オペラコンサート


 1958年に始まったNHKニューイヤー・オペラコンサートは、2017年で第60回を迎えた(3日)。第1回がラジオ放送で始まり、日本都市センターホール、共立講堂、東京厚生年金会館大ホールをへて、1974年からNHKホールとなった。この間、当時の日本オペラ界を代表する歌手たちが繰り広げるオペラの名曲によるコンサートは放送のみならず、ホールに集う聴衆たちにも親しまれる存在となった。

 歌手たちの顔ぶれを見ると砂原美智子、三宅春恵、川崎静子、伊藤京子、大谷洌子、藤原義江、五十嵐喜芳、柴田睦睦、栗林義信、立川澄人などの名歌手たちが登場した。今回は大村博美、砂川涼子、中島彰子、中村理恵、森麻季、森谷真理、池田香織、清水華澄、藤村美穂子、藤木大地、櫻田亮、西村悟、笛田博昭、福井敬、村上敏明、与儀巧、折江忠道、上江隼人、久保和範、黒田博、高田智弘、ジョン・ハオ、妻屋秀和が登場、指揮は広上淳一、鈴木雅明、オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団、バッハ・コレギウム・ジャパンであった。

 まず、レオンカヴァルロ「道化師」から「ほら!急げ」に始まり、ベッリ―ニ「ノルマ」、プッチーニ「トゥーランドット」、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」、モーツァルト「イドメネオ」、「魔笛」、「ドン・ジョヴァンニ」、ヴェルディ「ドン・カルロ」、「アイーダ」、「ファルスタッフ」、ヴァーグナー「ローエングリン」、「トリスタンとイゾルデ」、ヨハン・シュトラウス「こうもり」、「ヴェネツィアの一夜」、カールマーン「チャールダーシュの女王」、ジツィンスキー「ヴィーンわが夢の町」、マスネ「ヴェルテル」、チレーア「アドリアーナ・ルクヴルール」、ヴェルディ「ファルスタッフ」から「この世は全て冗談」で締めくくった。

 どの歌手たちも自分たちの持ち味を生かした歌唱、選曲だった。舞台もオペラに合わせ、場面を浮き彫りにした。「ドン・ジョヴァンニ」地獄落ちは迫真の演技、「ドン・カルロ」の2重唱は聴きものだったし、「アイーダ」の2重唱はエジプト王女アムネリス、将軍ラダメスとの迫真に満ちたやり取りが素晴らしかった。個々の歌手では砂川涼子がいま一歩の感がした。池田香織は昨年の二期会の舞台に引き続き、素晴らしい歌唱を見せた。村上敏明、福井敬、藤村美穂子は非の打ちどころがなかった。

 今年のオペラ界は1月、新国立劇場「カルメン」、2月は藤原歌劇団「カルメン」、二期会「トスカ」で本格的な幕開けとなる。4月は東京・春・音楽祭での「神々のたそがれ」など、話題の公演が出て来る。どんなオペラに出会えるかが楽しみである。