東日本大震災、福島第一原子力発電所事故による民俗芸能の現状

 12月17日、福島で行われた日本音楽学会、東日本支部第42回定例研究会では福島県浜通り地区での民俗芸能の現状報告があった。2011年3月11日、マグニチュード9の巨大地震による津波が東北地方を襲い、多くの人命が失われた上、東京電力、福島第一原子力発電所の事故も発生した。

 福島第一原子力発電所事故では浜通り地区の民俗芸能が存続の危機に瀕している中で、どのように復興してきたかを報告している。その中で、学校で民俗芸能を取り上げることに対して、憲法上の問題を上げて応じない事例があった。民俗芸能は、庶民の自発的な信仰心、即ち海への感謝、郷土愛と連帯、亡くなった方々への感謝、慰霊から生じたものであって、僧侶・神職などが進める宗教とは異なるということが学校側としても理解できていない。信仰と宗教とは何かという問題は、今こそしっかり考えることが日本国憲法を真に理解することにもつながっていく。今、安倍晋三首相が日本国憲法改正を進めようとしていることを思うと、この点をしっかりと理解することが急務だろう。

 何より、祭り・芸能が「ふるさと」、「生きる魂」の原動力、地域コミュニティの核となっていること。これが大切だろう。その原点に立ち、復興の原動力となっている民俗芸能の意義は大きい。ただ、福島第一原子力発電所事故で多くの人々が避難生活を送る中、民俗芸能復興のための費用もかかっていると聞く。それでも「ふるさと」を忘れまいとする心は強い。今回の報告を聞きながら、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、東北の人々が失ったものの大きさを考えさせられてしまう。

 今、原子力発電所再稼働を進めんとする安倍晋三首相は、この事故をどう考えているだろうか。もう、原子力発電より、再生エネルギーを活用して、本当に豊かな社会を作りだす時期ではなかろうか。2度とこのような事故で、多くの人々が「ふるさと」、民俗芸能を失うようなことをすべきではない。