パウル・バドゥラ・スコダ シューベルト ピアノ・ソナタ D.850

 イェルク・デムス(1928-)、フリードリッヒ・グルダ(1931-2001)とともにヴィーンの三羽ガラスと言われ、今年89歳になるパウル・バドゥラ・スコダ(1927-)のシューベルト。ヴィーンの香りを伝える名演である。

 第1楽章はシューベルトが訪れた温泉地バート・ガシュタインについた時の喜びが伝わって来る。構成力、ヴィルティオジティも十分である。また、シューベルト特有の転調による色彩感も豊かである。第2楽章。ガシュタインの壮大な風景を前にしたシューベルトの思い、自然の息吹が伝わって来る。第3楽章。スケルツォも自然と戯れるシューベルト、町の音楽師たちが演奏する舞曲が聴こえてくるような情景が広がっていく。トリオはガシュタインの風景か。第2楽章の余韻も聴こえる。第4楽章。ここではシューベルトが軽やかな足取りで、鼻歌交じりに散歩している。途中で立ち止まり、草原の花を見たり、小川のせせらぎが聴こえてくる。にわか雨に見舞われても、再び日が差し、軽やかな足取りで鼻歌交じりに歩き出す。やがて、もと来た道をたどっていく。

 シューベルトが自然の息吹、壮大さを感じている。そんな思いが伝わる演奏である。2017年には90歳、どんな演奏を聴かせるだろうか。