ユリアンナ・アヴデーエヴァ ピアノリサイタル

 2010年、ショパンコンクールで優勝したロシアの女性ピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエヴァのリサイタルはバッハ、イギリス組曲第2番、BWV807、イ短調、ショパン、バラード第2番、Op.38、ヘ長調、4つのマズルカ、Op.7(ポーランド・ナショナル版新全集)、ポロネーズ第6番、Op.53、変イ長調「英雄」、リスト「悲しみのゴンドラ」S.200-1、「凶星!」S.208、「リヒャルト・ヴァーグナーーヴェネツイア」S.201、ソナタロ短調、S.178であった。(28日 すみだトリフォニーホール)

 端正なバッハに始まり、ショパンではバラードのドラマトゥルギーが聴きものだった。マズルカもポーランドの香りが漂っていた。ポロネーズはスケールの大きさ、抒情性のバランスが素晴らしい、見事な演奏だった。

 リストは、晩年の3つの小品を並べ、ソナタを置く構成から、リストとヴァーグナー、シューマンとの関係を見据えていた。ヴァーグナーとは、長女コージマがヴァーグナー夫人となったため、親子関係にあった。リストはヴァーグナーに距離を置くようになったとはいえ、ヴァーグナーの死を心から悼んだ。その思いが伝わった。ソナタはシューマンから幻想曲ハ長調、Op.17を献呈された返礼だった。この頃、シューマンもリストと距離があった。それでも、リストは生涯、シューマン夫妻(ローベルト、クラーラ)を尊敬、ピアニストとしてのクラーラも評価していた。1楽章とはいえ、ソナタという楽曲の本質を問いただした作品であり、ロマン主義のソナタの名作でもあろう。ソナタの本質を私たちに垣間見せた演奏だった。

 アンコールはショパン、リストで、これも聴きものだった。11月6日、協奏曲ではストラヴィンスキー、チャイコフスキーの名作を演奏する。ピアノリサイタルでもロシア音楽によるプログラムを聴かせてほしい。