国立劇場開場50周年記念 仮名手本忠臣蔵 第1部

 1966年11月開場から50年を迎えた国立劇場、歌舞伎公演は10月から12月の3回にかけて「仮名手本忠臣蔵」全3部を完全上演することとなった。1702年12月、大石内蔵助率いる赤穂浪士の吉良上野介吉央への討ち入りを室町幕府成立期の鎌倉に置き換えて人形浄瑠璃として上演、歌舞伎としても上演、今日まで人気の演目となっている。歌舞伎座でも通し上演があっても、省略があったりして完全上演ではない。国立劇場の場合、完全上演ではないこともあった。今回は開場50年記念ということもあり、11月、12月にわたる完全上演となった。

 第1部は口上人形による配役紹介に始まり、足利尊氏の弟、直義が鎌倉に下り、饗応役を命じられた桃井若狭之助安親、塩路判官高定、高武蔵守師直との諍いに始まり、師直が高定の正室、顔世御前への横恋慕が絡み、高定が師直に斬りかかる刃傷事件への伏線となる。市川左団次と片岡秀太郎のやり取りが緊張感に満ちていた上、中村梅玉が師直に切りかかる高定の心理を見事に描き出した。桃井家の屋敷の場での市川団蔵の素晴らしい演技、中村扇雀、市川高麗蔵のおかる、勘平も見ものだった。判官切腹に駆け付けた大星由良之助は、松本幸四郎の当たり役だけに、自信漲る、迫真に満ちた演技だった。血気にはやる藩士たちを説得、討ち入りまで待つよう説得、城を去る時の無念さには余韻が残った。

 第2部では中村吉右衛門が大星をどう演ずるか。これが楽しみである。

 

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コメント: 1
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    石山俊彦 (土曜日, 22 10月 2016 11:48)

    二段目「桃井館」、三段目「裏門」、四段目「花献上」は松竹ではまず出ないので良かったと思います。後半の悲劇への布石として良くわかります。役者では顔世の秀太郎、判官の梅玉が一級品で抜きんでていました。幸四郎は由良之助としては七段目より四段目でしょう。團蔵の加古川本蔵は九段目でも行けるほど立派なものでした。