フィンランドの指揮者パーヴォ・ベルグルントがデンマーク王立管弦楽団を指揮したカール・ニールセン、交響曲第1番、Op.7、ト短調を聴く。1894年、29歳の時の作品で古典主義色が強いとはいえ、第1、第4楽章は自由な調性感が色濃く表れている。
第1楽章、ト短調とは思えないほど自由な調性感で、はっきりしない。再現部でようやく本来のト短調が確立するようになっている。コーダはト短調で堂々と締めくくる。
第2楽章、北欧の荒涼とした大地を思わせるくすんだ響きが特徴的である。長い冬の後にやって来る春の息吹が伝わってくるような演奏である。
第3楽章、スケルツォでデンマークの農村風景が伝わっていく。畑仕事にいそしむ農民たち、のどかな風景が広がるさまが目に見えるようである。
第4楽章、こちらも自由な調性感が強い。ただ、主調のト短調が明確になっている。楽章が進むにつれ、自由な調性感が全体を支配するようになり、最後はハ長調で締めくくる。
最初の作品ゆえか古典主義色が強いものの、自由な調性感によっている。それが後の作品に至ると自由な形式、構成へと進んでいく。その上で、この作品の自由な調性感の重要性が窺われる。
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