歌舞伎座2月公演 夜の部

 歌舞伎座2月公演は江戸歌舞伎390年記念、猿若祭と銘打って江戸歌舞伎の歴史・伝統を振り返り、新たな発展の姿を示す内容の演目が並んだ。夜の部は中村勘九郎の2人の息子が中村勘太郎、中村長三郎として初舞台を踏んだ「門出二人桃太郎」、「絵本太功記」より尼ヶ崎閑居の場、「梅ごよみ」の3本立てであった。

 「門出二人桃太郎」は祝祭的な内容で、中村屋の初舞台の定番。祖父に当たる中村勘三郎(18代)は「昔噺桃太郎」、勘九郎・七之助兄弟もこの演目で初舞台を踏んだ。幹部役者による口上もあって、華やかな舞台だった。

 「絵本太功記」では尼ヶ崎閑居の場がよく上演されるが、通しでは国立劇場のみとなっている。今回は中村芝翫の光秀をはじめ、中村魁春の操、中村東蔵の皐月、片岡孝太郎の玉菊、中村鴈次郎の十次郎、中村錦之助の久吉が素晴らしい舞台を見せた。

 「梅ごよみ」は江戸芸者の意地の張り合い、お家の一大事が重なった人情劇で、中村勘九郎、尾上菊之助、中村歌女之丞が粋な江戸芸者を演じ、市川染五郎の唐銀屋丹次郎、中村児太郎のお蝶の睦まじさ、中村歌六の千葉藤兵衛が意地の張り合いを見事に収め、人情味たっぷりに演じた。中村亀鶴の古鳥左文太の悪役ぶりも見事だった。

 歌舞伎座では「絵本太功記」上演は「尼ヶ崎閑居の場」のみで、通し上演がない。ぜひ、通し上演を望みたい。国立劇場ではいくつか復活上演されたものがあって、歌舞伎座で上演されたものもある。「絵本太功記」通し上演も新たな歌舞伎ファンの開拓につながるだろう。