東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第303回定期演奏会

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、第303回定期演奏会は指揮に高関健、チェロに宮田大を迎え、武満徹、チェロとオーケストラのための「オリオンとプレイアデス」、ベートーヴェン、交響曲第3番、Op.55「英雄」によるプログラムであった。

 1996年に没後20年となった武満作品は、1984年、パリで堤剛、東京フィルハーモニー交響楽団で初演、冬の星座オリオン座、牡羊座を構成するプレイアデス星団を描きだした作品で、宮田が聴き応えある演奏を見せた。アンコールではバッハ、無伴奏チェロ組曲第1番、BWV1007よりプレリュードを取り上げた。

 ベートーヴェンはナポレオンの皇帝即位に怒った挙句、献呈を取りやめたという通説に変り、ベートーヴェンはパリ移住を考え、この作品をはじめ、ヴァイオリンソナタ第9番、Op.47「クロイツェル」、ピアノソナタ第21番、Op53「ヴァルトシュタイン」などをパリで初演せんとした。その上、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための3重協奏曲、Op.56も作曲していた。しかし、オーストリアとフランスの関係が悪化したことにより、ベートーヴェンはヴィーンに留まることとなった。

 この時期のベートーヴェンの意気込みが伝わった演奏で、第2楽章「葬送行進曲」では戦死した兵士たちへの哀悼が聴こえてきた。第4楽章もスケールが大きく、迫力十分であった。

 次回は指揮に鈴木雅明を迎えヴェーベルン、バルトーク、ベートーヴェンを聴かせる。こちらも楽しみなプログラムになるだろう。