ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ニューイヤーコンサート 2017

 新春恒例となったヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ニューイヤーコンサート、2017年はベネズエラの気鋭の指揮者グスダーヴォ・ドゥダメルを迎えた。(NHK Eテレ 19:00~21:50)

 ドゥダメルは、ベネズエラでは誰でも無料で音楽を学べる「エル・システマ」で若者たちの育成に当たり、グレン・グールド賞を受賞している。この取り組みは、子どもの貧困問題が深刻化している日本でも取り組むべきことではなかろうかと感じている。今、習い事をしようにもできない子どもたちがふえている今、無料音楽教室を開設して、音楽を通じてつながることは日本の音楽界にとっても重要な課題になりつつある。また、音楽人口を増やし、音楽界に優れた人材を送り出すことにもつながる。

 コンサートに戻ると、シュトラウス一族の作品はもとよりスッペ、レハール、ニコライの作品、さらにはワルトイフェルの「スケートをする人々(スケーターズ・ワルツ)」によるプログラムで、ヴィーン国立歌劇場バレエ団のバレエ、スペイン乗馬学校、ヴィーン時計博物館を取り上げた。ワルトトイフェルはヨーゼフ・シュトラウスのポルカと関連付けたような感がした。ヨハン2世によるポルカでは、ドゥダメルがうぐいす笛を吹き、華を添えた。ニコライはオペラ「ウィンサーの陽気な女房たち」から夜の音楽を取り上げ、ヴィーン楽友協会合唱団が素晴らしい合唱を聴かせた。

 ヨハン2世「美しき青きドナウ」はこの作品が生れてから150年を記念してか、今までのバレエを集めた映像が素晴らしかった。最後は聴衆の手拍子と共にヨハン1世「ラデツキー行進曲」で締めくくった。

 2018年はリッカルド・ムーティを迎えることになる。現代ドイツ・オーストリアの指揮者ではクリスティアン・ティーレマン、フランツ・ヴェルザー=メストをはじめ、何人か指揮台に登ってほしいものの、いかがだろうか。そちらの面でも人選を進めてほしい。