青木紀久子 室内楽の夕べ ヴィーンの響き

 東京芸術大学からドイツ、エッセン・フォルクヴァンク音楽大学に留学、帰国後東京ゾリステンとの共演、NHK・FMへの出演、日本ブラームス協会への出演などで活躍、現在は室内楽中心にコンサートを行っている青木紀久子の室内楽コンサートはモーツァルト、シューベルト中心でヴィーンの響きに相応しい内容で、クリストフ・エーレンフェルナー、ヘルベルト・ミュラー、富岡廉太郎を迎えた。

 まず、ミュラー、エーレンフェルナー、富岡によるシューベルト、弦楽三重奏曲、変ロ長調、D.471はシューベルト特有の温かみあふれる音楽が会場全体を満たした。ミュラー、エーレンフェルナーによるモーツァルト、ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番、K.423はヴィーンの典雅な響きに満ちた演奏だった。青木、ミュラー、冨坂によるモーツァルト、ピアノ三重奏曲、ハ長調は力強さ、典雅さが一体となり、素晴らしい世界を作り上げた。

 後半はヘンデル=ハルヴォルセン、パッサカリア、ト短調はヘンデルのクラヴィーア組曲からの編曲で、聴き応え十分の演奏であった。モーツァルト、ピアノ四重奏曲第1番、K.478、ト短調は素晴らしい演奏で、全ての奏者たちが熱のこもった演奏を繰り広げた。

 アンコールはバッハ、管弦楽組曲第3番、ニ長調からアリア。コンサートの余韻をじっくり味わうことができた。